楽しいと言ふこと

殆どのミュージシャンが練習について、演奏について語るとき、「一番大切なのは楽しむ事。楽しんで!」とよく言ふが、結構、それが難しいんぢやないかしら。
初めて何か楽器に触る時、その感触に触れた嬉しさや、音が出た感動。楽しいです。それがただの騒音でも単音でもなく、曲になつた時の興奮もとても楽しいものですが、それを通過して基礎力の必要性を感じ始めると、技術的訓練が必要になり、そこは楽しくなくても別に良いんぢやないかな。だから楽しくないことに悩む必要はない。ただ、出来てくると楽しくなると思ふ。
鉛筆を初めて手にした子供が、ただ点や線を書くのを面白がつてゐたけれど、ひらがなやカタカナ、漢字を覚えるための訓練は…そんなに楽しくなかつたやうに思ふ。それと似た詰まらなさを超えたところに楽しさはある。
楽しめない事に悩んでも、全く楽しめない。
未熟さに耐へて楽しむ為には、自分のその段階段階のテクニックを必要とする。自分の状態に合つた練習さへしてゐれば、きつと楽しい段階がやつて来る。気がする。
それにしても、急激に寒くなつた為に、風邪をひいてグッタリしてゐる間に9月が終はつてしまひました。まだクシャミが…。