(無題)

地震が起きた時はパソコンの前にゐて、地震だ!と思ひ、収まるのを待つてゐたら収まらず、ただ事ではないと部屋を出た時には電気が止まつてゐた。
普段からラジオを聴く習慣もないのでラジオが何処にあるのかもわからず、電話も通じず、電気の復旧を待つた。復旧まで30時間程掛かつたけれど。
とても寒くて眠れなかつたけれど、ラジオからの情報で、かなり広い範囲で停電が起きてをり、復旧の目処は立つてゐないことだけはわかつた。1日は使ひ捨てカイロで何とか夜を越したけれど、2日目は無理だと思つてゐたところ、暗くなつてからやつと電気が通り、テレビで何が起こつてゐるのかやつとわかつた。
家があつてベッドがあつてあれだけ辛いのだし、地震の影響による少しの不便さと感じる度に、その何十倍もの被災地の現状を考へると涙が出る。
仙台にゐる友達とも連絡が取れず、やつとメールの返事が来た。家は流されなかつたものの、1階は水に浸かつてしまつたさうだ。
ミュージカルをやつてゐる別の友達は、公演を延期するか中止するか決行するかで揉めたらしいが、決行する事にしたさうだ。小さな劇団で、衣装の準備やらポスターやら会場のキャンセル料やら色々あるのだらうし、こんな時こそ芸術でみんなを元気にしたいと言ふ事らしい。
いろんな事を自粛するムードがあり、それが経済の為には良くないらしい事もあるし、普段の生活が出来てゐる人は、出来るだけバランスを取りながら普段の生活をするのが良いと思ふけれど、音楽や芸術の恩恵を受けるには、ある程度の幸せが必要であると言ふ事を思い知つた。