僕だけがいない街が終つた

昨年末に漫画本を発見してから、アニメ化された事もありこの話題が続いてしまひましたが、それもこれで終はりです。最終回を迎へました。

主人公の持つ、コントロールできない、過去に戻る能力(リバイバル)と、子供の頃に同級生が巻き込まれた連続児童殺害事件がストーリーの柱となつてゐる。
リバイバルは何か事件の起こる前に戻り、「違和感」を探す。もしそれが事件の原因だつた場合、プラマイゼロに出来る、戻る時間も数分程度。過去に起こつた殺人事件が解決出来されてゐない為、29歳の現実世界で母親が犯人に殺されてしまふ。そこで突然事件の原因の起こる前の18年前に飛ばされてしまふと言ふお話です。

記憶は29歳で体は小学生の主人公が、一人でゐる事の多かつた同級生を殺人事件から救ふ為に、一人にさせないやう奔走し、失敗し、その意思に他の同級生も引き寄せられて行くと言ふ感じ。一歩踏み込まなかつたと言ふ最大の原因を何度もやり直す。

……そんな感じなのですが、兎に角この作品はタイトルが良かつたと思ひます。
僕だけがいない街」と言ふのは、上京したり転勤したり、旅行に行つたり留学したり、人と疎遠になつてしまつたり…誰にでも「僕だけがいない街」が存在する為に、とても引きつける力を持つてゐる。

最後のリバイバルで主人公は犯人に辿り着くものの、犯人によつて車で湖に沈められてしまひ、15年間眠り続ける事になる。目覚めた時、小学生の体だつた主人公は21歳になり、記憶も曖昧になつてゐる。15年を失つてしまつた。
当時の同級生は皆、それぞれ弁護士になつたり、医師を目指してゐたり、入院費の募金活動をしたり、殺された母は生きていて自分の看病をしてゐた。曖昧な記憶を取り戻しつつ、真犯人との対決になる。

みんながそれぞれの人生を自分の為に費やし、曖昧な本当かわからない目覚めた自分の話を信じて動いてくれ、最後の「僕だけがいない街、僕だけがいない時間、それこそが僕の宝物だ。」で締めくくられた最終回にとても感動しました。

色んな人と出会つて別れて、強く後悔を残すと、でもそれは例へ二度と会ふ事はないと解つてゐても、そこを克服しようとする人生を送るやうに、みんななつてゐるのではないかと思ひます。

僕だけがいない街」と言ふタイトルは少し寂しい感じがするけれども、最終回を迎へた時に、同じ言葉の印象が暖かく感じられ、とても良い作品だと思ひました。